〈小説〉墓地を見下ろす家
全室3500万円。82.72㎡、ベランダ付きの2LDK。セントラルプラザマンション。高井野駅が最寄り駅。南向き、鉄筋コンクリート8階建て。投資物件にも向いています。
1993年のクリスマスイブに発刊したが真夏のお話。作家は小池真理子という推理小説からサイコサスペンス、幻想ホラー小説まで執筆するすごい人。この本の内容はタイトルの通り、マンションの話。まあ普通の神経をしていたら火葬場と寺と墓に囲まれたマンションなんか住みたくないだろう。
主な登場人物
加納美沙緒(かのうみさお):
主人公で1児の母(32)。イラストの仕事をやっているが、略奪して不倫相手の奥さんを自殺にまで追い込んだすごい女。基本的にほかの女を見下しているが、義理の弟からは凡庸な女と思われている。ちなみに実の母親からは男にこびてる不潔な女と思われている。
加納哲平(かのう てっぺい):
美沙緒の夫(35)で不倫により妻を自殺に追い込んだ。ちなみに性欲は人一倍で子供ができて7年たっても現役である。職業は想像力豊かな立派なコピーライター(自称)。幼いころにハンガーに襲われた経験がある。肝試し大会に優勝した経験を自慢していたが急な照明の消灯で気絶した。ちなみに元妻の葬儀等は弟がすべてやったらしい。
加納玉緒(かのうたまお):
5歳の女の子だが、ペットが死んだりいじめられたり、かまいたちをくらったりとかわいそうな子。
ピヨコ:
ひよこではなく白い文鳥で、玉緒のペット。ちなみにしゃべれるし、とても利口。アパートに住みつくよくわからんやつにやられた。巨大ゴキブリにやられたといううわさも。バナナが好き。
クッキー:
柴犬の血を持つ薄茶色の犬。玉緒のペットその2。
玲子:
哲平を寝取られた女。夏目漱石に出てくる小説の女のようらしい(要するに実生活に向いてない)
加納達二(かのうたつじ):
哲平の弟。美沙緒より玲子(兄の元妻)になついていた。今はヒステリー女とつきあっている。大手食品会社に勤務。30の割に4,5歳の表情をする時があるらしい。
加納直美(かのうなおみ):
達二の奥さんで哲平からは嫌われている。大学教授の娘で美人だが自己中なやつ。
井上栄子:
見るからに普通の人生を歩んでいる女。子供は3人。雑駁な性格のおかげで知人の子供にけがを負わせた。年のせいか変な音が聞こえるらしい。夫の後ろ頭は禿気味。
田端光枝(たばたみつえ):
このマンションの管理人。井上家によく上がり込む迷惑な老婆。見た目は老けて見えるがまだ50代。顔はシモーヌ・シニョレに鬼女の仮装させた見た目らしい。あだ名はスピーカー婆あ。実写化したら彼女のパンちらが見れたことだろう。信条は他人をねたみ、愚痴を言う人間にはならない。
田端末男(たばたすえお):
年のせいか、午前2時になると地下室で人の話し声を聞くらしい。頭にわずかに白髪が残っている。
東海林(しょうじ):
瞑想の専門家。だが止まっていたエレベータを動かすなど妙な能力を持っている。霊気を感じ取ることができ、マンションには悪魔より質の悪いものがいるらしい。20代のころインドで過ごし、ヨーガを学んで瞑想法をマスターし、それを今は教えている。
自分の手から気を発生させ、宇宙の気を吸収し、気を送り出す。これを霊的存在に与えると疲れてくるらしい。ちなみにエレベータを1回分動かす程度で忘我状態になる。
原島:
ホステス。香水では隠し切れないすえたにおいがするらしい。
吉野:
高校教師の夫婦。空気その1。
八田:
姉妹でエアロビクスのインストラクター。空気その2。
あらすじ
新築・格安、都心に位置するという抜群の条件のマンションに移り住んだ哲平一家。だがそのマンションは墓地があるわ火葬場があるわと景観は最悪である。何も起こらなければよかった…。そう、まさかこんな事態が起こるなど、神さえ予想できなかっただろう。
やばいマンションの見分け方
うかつに安いマンションには当然何かあるが、ほかの住人が逃げる前に自分が逃げ出せれば命は助かる。そのためにも、以下のことを調べてみるべきだ。
・周りに墓地、火葬場、寺がある
・エレベータでしか行けない地下室がある
・地下道と地下室がつながっている
まだほんの一握り。だがこれ以上のことを書くと、みゃーんな力のせいで筆者自身が消されてしまう。
もし、上記を満たしているのに住み続けると下記のようなことが起こる。
・ペットが死んで夜な夜な会いに来る
・TV画面の隅に黒い人型のものが映る
・ひそひそ声が聞こえる(主に地下室)
これくらいなら問題ないと思ってはいけない。もしあなたが意地を張って引っ越さずに最後の一人になると…
決してそこからでられなくなる。もし出ようとすると…
ジュワッな目に合っちゃう。
最後に…
安いものには裏がある。だがみなさんは対策法を学んだので、引っかからないよう注意してください。