薬局ねこのホラーれびゅー

ホラー映画や小説についてユーモア交じりで解説します!!

〈小説〉 ついてくる

わかるかな、「ついていく」ではなく、「ついてくる」という、この意味あいが…。


「ついてくる」とは、2001年4月の吉村達也の小説である。ちなみに最初の単行本時はタイトルは「ついてくる 京都十三夜物語」を加筆・訂正し、文庫化したものが冒頭のタイトルである。
作者である吉村達也は朝比奈耕作や氷室想介シリーズなどのミステリーや「樹海」、「ボイス」などのホラーを両立させている数少ない作家のひとりである。
本を手に取ってもらえばわかるがページ数が600ページ以上あるので「呪怨」や「リング」よりはるかに長い。だが、ミステリーも手掛けているせいか恐怖と謎を知りたい好奇心を掻き立て、最後まで飽きない構成なので一読の価値はある作品である。
是非映画化してほしいが、重要シーンの1つが完全ににゃーんなので全年齢対象は難しいと思われる。
ちなみにピエロが出てくるホラー映画とは全く関係がない

主なあらすじ
他人の不幸を笑う永瀬和也・晴美夫婦はゴールデンウィーク中に旅行気分で晴美の実家を訪れることにした。だが、それは2つの肉の塊をひき殺してしまったせいで恐怖の旅行に…。
さらに晴美の父親の秘密についても明らかになっていき…。


主な登場人物

永瀬和也:

主人公。妻の男性遍歴やヒステリーにこだわらない懐の深い男。都内の出版社で編集者として勤めており、妻とは社内結婚。後述の葛城夫妻が結婚を仲人しているが、晴美と一緒に恩を仇で返した。ドライバーを用いた修理やチェンソーを扱うなど朝飯前。ちなみに特技は自分の目に夢の中の画像を映すこと

永瀬晴美:

和也の妻。まあまあな男性遍歴を持っている。結婚前は出版社に勤めていたが今はフリーライタ-。ちなみに精神は不安定でよくヒステリーを起こす。


市之瀬恵造:

晴美の父親で怨霊の研究をしている自称民俗学者の小説家。娘の結婚を3回ダメにした父親で、ぶっちゃけ今回の主人公たちの不幸はこいつが責任の一端を担っている。

 

市之瀬準子:

晴美の母。ダメな夫と違ってできる女。なんであいつと結婚したのか…。

 

葛城啓一郎:

和也の会社の書籍編集長。この作品一番の被害者。妻にも娘にも愛人(ニューハーフ)にも恵まれてない。

 

葛城鏡子:

生霊といういわゆるスタンドを使いこなす葛城啓一郎の妻で、川本一郎の娘。能力は、相手の頭に取りつき、悪夢を見せたり誘導したりなど。当初は遠隔操作型と思われていたが、終盤で自動追尾型であることが判明した。

川本一郎:

売れない小説家でペンネームは諸星輝。写真を取り入れた斬新な小説を書こうとしたが市之瀬恵造の嫉妬によりおじゃんになった。が、こいつにはあんまり同情できない。なぜなら(ネタバレ注意)
自分の娘に不思議な力があったので生活費捻出のため研究機関に娘を売る。
その後、上記の市之瀬恵造のせいで情緒不安定になり娘をはたく。
娘自殺し、それを市之瀬恵造のせいに…
こんな奴にはなりたくないねえ。

 

京都十三夜物語:
売れない作家の川本一郎が市之瀬恵造のネタをパクリ、完成させたホラー小説。写真を使った小説という、自分に表現力がないため斬新な書き方で、これを読んだものはその内容を現実に体験できるなどジョジョで言うジェットみたいなものである。
最初は全然怖くないが、意味が分かってくる…

第1夜:京都伏見の黒い猫
黒い招き猫を購入した女の話。

第2夜:祇園花見小路の恋
不倫(ニューハーフ)とバーで密会しようとしたけど…


第3夜:魔王殿から来た老人

川本の願望。かなわなかったけど…

第4夜:鹿怨寺無彩幻想
モノクロの世界に放り込まれる話。

第5夜:株式会社「七福神
人々に笑顔を振りまくお仕事のお話。

第6夜:也阿弥ホテル
2000年問題で計器と一緒に自分も狂ったお話

第7夜:比叡山ゼロの魔術
婚約者の男性遍歴を義理の父から聞かせられるお話

第8夜:源光庵「悟りの窓」と「迷いの窓」
最初の結婚は練習で本番は2回目から。

第9夜:嵯峨野ささやか二人旅
人力車のバイトしたら変な人乗せたお話

第10夜:貴船夜風の灯篭流し
不倫女と灯篭流しするお話
第11夜:タイトル不明
嫌がる妻に無理やり注ぎ込むお話。

第12夜:タイトル不明
セーラー服を着たまま入浴する女子高生が…

第13夜:タイトル不明
これからもずっと一緒だね…


最後に…
みなさんも人の不幸を笑うのはやめましょう。とんでもないしっぺ返しが来るかもしれません。
あくまでも、他人の気持ちになって…